外科医がやっている忙しい人のダイエット術【2026年版】時間なし・エビデンスあり

ダイエット・筋トレ

「当直明けでも手術があって、まともに食事できない」「昼食は5分でかき込むのが当たり前」——脳外科医として長時間手術を続ける僕が、体重管理に本気で向き合い始めたのは37歳のときだった。

医師はエビデンスを知っている。食事制限の方法も、運動の効果も、授業で習った。しかし「知っている」と「実践している」は全く別の話だ。

本記事では、週70〜80時間労働の外科医が実際に続けられたダイエット法を、医学的エビデンスと自分の実体験を交えて紹介する。「時間がない」を言い訳にしてきた人に、特に読んでほしい。

外科医が太りやすい3つの理由

まず前提として、なぜ医師・外科医は太りやすいのかを理解しておこう。

①コルチゾール過剰分泌

手術中の緊張・長時間の集中・死に直面するストレス——これらが慢性的なコルチゾール過剰分泌を引き起こす。コルチゾールは内臓脂肪の蓄積を促進し、食欲(特に高糖質・高脂質食への渇望)を増加させる。

②概日リズムの乱れ

当直・夜間手術による睡眠不足は、レプチン(満腹ホルモン)を低下させ、グレリン(食欲増進ホルモン)を増加させる。睡眠6時間未満が続くと、同カロリー摂取でも体重増加率が有意に上昇することが複数のRCTで示されている。

③「ご褒美食い」サイクル

12時間手術が終わった後の解放感でラーメン・ビール——これは医師あるあるだと思う。疲弊した前頭前野は衝動制御を担えなくなるため、過食・飲酒への衝動が増大する。

僕が試して続かなかったダイエット法

先に「失敗リスト」を共有しておく。忙しい医師が陥りがちなパターンだ。

  • カロリー計算アプリ:食事記録に30分かかり、当直中は不可能で3日で挫折
  • ジムの月会費:週1行けるかどうかで費用対効果ゼロ。2ヶ月で幽霊会員化
  • プロテインダイエット:置き換えは空腹感が強く、ストレス増大で過食に転化
  • 朝食抜き(なんとなく):昼食まで空腹でドカ食い。午前の手術中に頭がぼんやり

外科医が2年間続けられた「3つの柱」

①時間制限食(TRE:Time-Restricted Eating)

1日の食事を8〜10時間の「食事ウィンドウ」に収める方法。当直日は例外を認めつつ、通常勤務日は「11時〜20時の間だけ食べる」というルールを設定した。

TREの利点はカロリー計算が不要な点だ。Satchidananda Pandaらの研究(Cell Metabolism, 2019)では、TREを12週間続けたグループで体重・内臓脂肪・血圧が有意に改善した。朝の手術がある日は10時を食事開始にずらすなど、柔軟な設定が続けるコツだ。

②NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)の最大化

  • 院内エレベーター禁止(階段のみ):意志力ゼロ・追加時間ゼロ
  • 手術室移動時は速歩き:5分×10回=50分相当の有酸素運動
  • 週末ゴルフ(9H):4〜5km歩行+適度な集中・メンタルリセット効果あり

「週末だけ」の集中運動より、毎日の低強度活動の積み上げの方が代謝的に有利であることが、NEAT(非運動性熱産生)研究で示されている。

③戦略的チートデイ

チートデイを戦略的に取り入れることには科学的根拠がある。カロリー制限が続くと、レプチンが低下し代謝が適応的に低下する(いわゆる「停滞期」の本質)。週1回カロリーを意図的に増やすことで:

  • レプチン分泌が一時的に回復し、基礎代謝の低下を抑制
  • 筋グリコーゲンが補充され、翌週の運動パフォーマンスが向上
  • 心理的な食欲ストレスが解消され、長期継続率が向上

ただし「チートデイ」が「爆食いデー」になると逆効果。目安は通常比120〜130%カロリー増(500〜700kcal増程度)が現実的だ。

当直前後の食事プロトコル

当直は最大の「食事乱れポイント」だ。以下のプロトコルを導入することで、当直後の体重増加を最小限に抑えられるようになった。

タイミング食事内容意図
当直入り前(夕食)タンパク質多め・糖質控えめ(鶏胸肉・サラダ・卵)血糖スパイクを抑え、夜間の過食衝動を軽減
当直中(夜間)ナッツ類・プロテインバー・チーズ血糖を安定させ、カップ麺等への誘惑を遮断
当直明け朝できれば何も食べずに帰宅→帰宅後に軽食TREの窓を守り、疲弊状態での過食を防ぐ
当直明け昼〜夕通常の食事に戻す。ラーメン解禁はOK(量は調整)禁止より「量の調整」で精神的負担を下げる

忙しい医師のための1週間食事プラン(シンプル版)

曜日朝(11時)昼(12〜13時)夜(20時前)
月(通常勤務)プロテイン+コーヒー定食(魚+野菜+米小盛)鶏肉+野菜炒め+味噌汁
火(外来)ゆで卵2個+コーヒーコンビニ(サラダチキン+豆腐)外食OK(量は半分意識)
水(手術日)バナナ+プロテイン5分で食べられるもの(おにぎり+スープ)タンパク質重視で補う
木(当直)通常朝食通常昼食当直プロトコル適用
金(当直明け)なし/軽食帰宅後に軽食チートデイ(自由)
通常通常通常
日(ゴルフ)早起き+軽食コース飯(ハーフターン)通常+ビール1〜2杯OK

体重・体組成の管理:データで見えてくること

体重計だけでなく体組成計(体脂肪率・筋肉量)を毎朝測定することで、体重が増えていても筋肉が増えているのか脂肪が増えているのかが判別できる。

僕が使っているのはWi-Fi同期型のスマート体組成計。毎朝10秒、乗るだけでアプリにデータが蓄積される。外来中でも昨日の数値を確認でき、食事選択の動機付けになる。トレンドとして意識すべきは週単位の移動平均だ。当直明け・塩分摂取量により日々の変動が激しいため、週平均で評価するのが正しい。

医師として気をつけた食事の「地雷」

  • 学会弁当:糖質多め・脂質多め・タイミング不規則。参加者全員が眠そうな午後のセッション…の原因だ
  • 手術後の自販機:炭酸飲料・缶コーヒーへの強い誘惑。水かブラックコーヒーで代替
  • 当直室の夜間スナック:深夜2時の空腹でカップ麺——最大の敵。ナッツ類を常備することで対処
  • 医局の差し入れ:断れない空気があるが、「1口だけ」で感謝を示しつつ量を制限

ゴルフとダイエットの相乗効果

ゴルフのスコアと体重管理は驚くほど連動する。体が軽いとスイングの切り返しが楽になり、18ホールの後半でも集中力が落ちにくい。逆に太るとバックスイングで窮屈になり、ラウンド後半でスコアが崩れやすくなった。

ゴルフを「趣味」として続けることが、間接的に体重管理のモチベーションになっている。9ホール歩きラウンドは4〜5kmの歩行。週末1回のゴルフだけで月間20km前後の活動量が積み上がる。

よくある質問

Q. 医師でも筋トレは必要ですか?
A. 時間があれば有効ですが、本記事で紹介したNEATとTREだけでも体重管理は可能です。筋肉量を増やすより「落とさない」ことを意識し、プロテイン摂取(1日体重×1.2〜1.5g)を心がけることが優先です。

Q. 当直明けの食欲暴走を止める方法は?
A. 当直明けは「疲れた脳」が高糖質・高脂質を求めます。帰宅直後に水を500ml飲む→20分待つ→本当に食べたければ食べるというプロセスを挟むと、衝動的な過食が3〜4割減ります。

Q. プロテインは何を飲んでいますか?
A. ホエイプロテインを朝食代わりに使用。甘くないものを選び、コーヒーに混ぜるか水で飲むだけにしています。コンビニのサラダチキン・豆腐・卵でも十分なタンパク質が摂れます。

Q. 体脂肪率の目標はどれくらいが理想?
A. 医師として手術・処置をこなすには体が軽い方が有利。男性医師なら体脂肪率15〜20%が健康的かつパフォーマンス的に良いと実感しています。健康診断の「腹囲85cm未満」も一つの指標です。

まとめ:今日からできる3つのアクション

忙しい医師が明日からすぐ始められる最小限のアクションを3つだけ挙げる。

  1. 食事ウィンドウを決める:「何時から何時の間だけ食べる」というルールを1つ設定するだけ。計算も記録も不要
  2. エレベーターを使わない:追加の時間ゼロ。院内の移動を全て階段にするだけでNEATが大幅アップ
  3. 当直室にナッツを常備する:深夜の空腹対策。カップ麺との戦いに勝つための最強の武器

完璧を目指さなくていい。「できる日はやる、できない日は流す」の繰り返しが、2年後に10kgの差を生む。

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