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「引退したら年金でどのくらい貰えるんだろう?」——前回の出口戦略記事(4%ルール)を書きながら、自分でも気になって計算してみた。結論から言うと、正直かなりキツい。
現役医師の多くは、自分がいくら年金を貰えるか把握していない。高収入だから「まあそれなりに貰えるでしょ」と思いがちだが、実態はかなり異なる。この記事で一緒に確認していこう。
📋 この記事でわかること
- 公的年金の仕組み(国民年金・厚生年金)を簡単におさらい
- 勤務医の年金受給額の試算(2026年度・計算式付き)
- 「高収入でも年金は意外と少ない」理由
- 勤務医・開業医の年金額の差
- 現役時代の生活費と比べたときの現実
- 年金だけでは足りない分をどう備えるか
公的年金の仕組みをおさらい
日本の公的年金は2階建て構造だ。
1階:国民年金(基礎年金)
20〜60歳の40年間加入で満額。2026年度の満額は月70,608円(年847,296円)。前年度から+1,300円(+1.9%)の引き上げ。医師も会社員も同じ金額。
2階:厚生年金
会社員・勤務医が加入。現役時代の収入(標準報酬月額)と加入期間に応じて受給額が変わる。勤務医は研修医から定年まで厚生年金に加入し続けることが多いため、基礎年金+厚生年金の両方を受け取れる。
厚生年金の計算方法
厚生年金の受給額(報酬比例部分)は以下の式で計算できる。
厚生年金(報酬比例部分)= 平均標準報酬月額 × 5.481‰ × 加入月数
ここで重要なのが「標準報酬月額には上限がある」という事実だ。2026年現在、標準報酬月額の上限は月65万円。年収に換算すると約780万円相当だ。
つまり、年収1,500万円の医師も年収2,500万円の医師も、厚生年金の計算上は「月65万円」で頭打ちになる。高収入であることが年金額に直結しない——これが最大の盲点だ。
⚠️ 2027年9月から段階的引き上げ予定:標準報酬月額の上限は2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へと段階的に引き上げられる予定。今後は高収入の医師の年金額もある程度増える可能性がある。
勤務医の年金受給額を試算する【2026年度版】
典型的な勤務医のケースで計算してみよう。
ケース①:標準的な勤務医(38年勤務)
- 研修医〜専門医取得後の平均を考慮し、平均標準報酬月額を55万円と仮定
- 勤務期間:27歳〜65歳の38年間(456ヶ月)
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 国民年金(基礎年金・満額) | 約70,608円 | 約847,296円 |
| 厚生年金(55万円×5.481‰×456ヶ月) | 約138,000円 | 約1,653,000円 |
| 合計 | 約209,000円 | 約250万円 |
ケース②:上限張り付きの高収入勤務医(40年勤務)
- 標準報酬月額を上限の65万円で計算
- 勤務期間:25歳〜65歳の40年間(480ヶ月)
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 国民年金(基礎年金・満額) | 約70,608円 | 約847,296円 |
| 厚生年金(65万円×5.481‰×480ヶ月) | 約171,000円 | 約2,050,000円 |
| 合計 | 約242,000円 | 約290万円 |
⚠️ 現実のまとめ:勤務医の年金は月21〜24万円程度が上限(2026年度時点)。年収2,000万円以上稼いでいても、年収700万円の人と年金はほぼ変わらない。これが日本の厚生年金の設計だ。
📊 視覚化:医師の年金月額 vs ゆとり老後の必要月額
不足額:月10〜28万円、年120〜340万円(勤務医でもゆとりある老後を望むなら、年金だけでは月10〜14万円不足。開業医は基礎年金しかないので月28万円不足。iDeCo・新NISA・小規模企業共済による「自分年金」の積み上げが必須です。)
現役時代の生活費と比べると?
現役の勤務医(年収1,500万円)の手取りは月70〜80万円程度。そこから引退後の年金月21〜24万円と比べると……。
| 現役時(手取り) | 引退後(年金) | 差額 | |
|---|---|---|---|
| 月収入 | 約70〜80万円 | 約21〜24万円 | ▲50万円以上 |
現役時代と同じ生活水準を維持しようとすると、月30〜50万円以上の「年金以外の収入源」が必要になる計算だ。これが前回の記事で書いた「4%ルールによる取り崩し」が必要になる本質的な理由だ。
iDeCoで上乗せできる分は?
勤務医がiDeCoを月12,000円・35年間・年率5%で運用した場合の試算:
- 積立総額:12,000円 × 12ヶ月 × 35年 = 504万円
- 運用後の資産(年率5%):約1,148万円
- 70歳まで10年間で取り崩した場合:月約9.6万円の上乗せ
iDeCoだけでは焼け石に水だとわかる。だからこそNISAを使った長期積立が重要になる。私自身もNISAを優先軸に資産形成を進めている(後述のFAQで詳述)。
よくある質問(FAQ)
Q1. 医師の年金は平均いくらもらえますか?
A. 勤務医の場合、月21〜24万円程度(年250〜290万円)が現実的な水準です(2026年度試算)。これは国民年金(月70,608円)+厚生年金(月14〜17万円)の合計。年収1,500万円でも年収2,500万円でも、厚生年金の標準報酬月額に上限65万円があるため、月24万円程度が事実上の天井になります。
Q2. 勤務医と開業医で年金額にどのくらい差がありますか?
A. 勤務医は月21〜24万円、開業医は月7万円程度(国民年金のみ)と、3倍以上の差があります。開業医は厚生年金に加入していないため、自分で国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済などで上乗せしないと、現役時代との収入差が深刻になります。開業医ほど自助努力での老後資産形成が不可欠です。
Q3. 年収が高い医師ほど年金は増えますか?
A. 増えません。厚生年金の計算根拠となる「標準報酬月額」には上限65万円(2026年度)が設定されており、年収780万円相当を超えると年金額は頭打ちになります。年収1,500万円の医師も2,500万円の医師も、厚生年金の受給額はほぼ同じ。これが「高収入=高年金」と誤解されがちな最大の盲点です。
Q4. 医師が老後の収入を増やすために今からできることは?
A. 優先度の高い順に4つ:①新NISAで年間最大360万円を積立投資(運用益非課税)、②iDeCoで月12,000〜23,000円を全額所得控除しつつ運用、③ふるさと納税で住民税を実質還元、④勤務医→開業のタイミングで小規模企業共済を活用。30代から始めれば、月10万円のNISA積立だけで30年後に約8,000万円(年率5%想定)の取り崩し原資を作れます。
Q5. iDeCoとNISA、医師はどちらを優先すべきですか?
A. 私自身はNISA優先派です。理由は3つ:
- 流動性が圧倒的に高い:NISAはいつでも売却・引き出し可能。iDeCoは60歳まで原則引き出せない(医師は突発的な開業資金・住宅・教育費が動きやすい)
- 非課税枠1,800万円が大きい:医師の積立余力(月10〜20万円)に対して、NISAの生涯非課税枠は使い切るまで10年以上かかる規模。先にここを埋める方が複利の時間を最大化できる
- iDeCoは出口戦略が複雑:退職所得控除との兼ね合いで、勤務医→開業のタイミングや受取方法(一時金 vs 年金)で手取り額が大きく変わる。NISAの方が設計がシンプル
ただし併用する価値は十分あります。所得税率の高い40代後半以降の勤務医は、iDeCoの掛金全額所得控除が効くため、NISA枠を埋めながらiDeCoも月23,000円積み立てるのが王道。月の余裕資金が10万円を超えるならNISA+iDeCo併用、10万円未満ならまずNISAから始めるのが現実的な選択肢です。
Q6. 開業医はなぜ年金が少ないのですか?
A. 開業医は厚生年金ではなく国民年金のみに加入するためです。国民年金の満額は月70,608円(2026年度)=年約85万円のみ。勤務医時代に加入していた厚生年金分は受け取れますが、開業後の期間は国民年金のみになります。対策として①国民年金基金、②iDeCo(月68,000円まで)、③小規模企業共済(月最大7万円)を組み合わせる必要があります。
Q7. 50代から年金対策を始めても間に合いますか?
A. 十分間に合います。50代の医師は所得税率の高さから、iDeCo・NISA・ふるさと納税の節税効果が最大化される世代。例えば50歳から月10万円をNISAで積立て年率5%で運用すれば、65歳時点で約2,650万円。これに4%ルールで取り崩せば月約9万円の上乗せが可能です。「もう遅い」ではなく「今からでも10年積み立てれば月収を底上げできる」と考えるのが正解。
次回予告:医師の老後、いったいいくらかかるのか?
年金月21〜24万円という現実がわかった。では、医師の引退後の生活費はいったいいくら必要なのか?
「現役時代と同じ生活を送る場合」「生活をコンパクトにした場合」「医療費・介護費が増えた場合」——ケース別に医師の老後生活費を試算していく。4%ルールと組み合わせた「目標資産額の逆算」まで一気に解説する予定だ。
まとめ:勤務医の年金額を把握し、老後資金の準備を始めよう
- 勤務医の年金は月21〜24万円が現実的な上限(2026年度)(国民年金+厚生年金)
- 標準報酬月額に上限(65万円)があるため、高収入でも年金は増えない
- 2027年9月から段階的に上限引き上げ予定(68→71→75万円)
- 勤務医と開業医では年金額に3倍以上の差がある
- 現役時代との収入差は月50万円以上になる可能性
- iDeCoだけでは不十分。NISA優先+iDeCo併用が王道
- 年金以外の「4%取り崩し資産」をいくら用意すべきかは次回詳しく計算
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・医師の資産形成ロードマップ2026|年1000万円以上を実現する段階的戦略
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老後資産形成の手段比較:年金・iDeCo・NISA・不動産を医師の収入で試算
「年金だけでは不足」という結論は多くのブログで見かけますが、「では何で補うか」の具体的な比較が不足しています。医師の収入水準で比較します。
| 手段 | 毎月の拠出額目安 | 税制優遇 | 60歳時の想定資産(年率5%・30年) | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 厚生年金(現役時) | 給与から自動控除 | ◎ 保険料は全額所得控除 | —(受給は65歳〜) | 勤務医は受給額が多い・開業医は国民年金のみ |
| iDeCo(企業型DCなし) | 最大23,000円/月 | ◎◎ 掛金全額所得控除・運用益非課税 | 約1,900万円 | 60歳まで引き出し不可 |
| 新NISA(積立投資枠) | 最大120万円/年(10万円/月) | ◎ 運用益・配当が永久非課税 | 約8,200万円(月10万円・30年) | 非課税枠1,800万円の生涯上限あり |
| 特定口座(課税) | 上限なし | × 利益の20.315%が課税 | NISA枠超過分の受け皿 | NISA枠を使い切ってから |
勤務医と開業医では老後の年金受給額に大きな差があります。勤務医(厚生年金加入)は年収に連動して受給額が上がりますが、開業医(国民年金のみ)は年間約80万円(満額)しか受給できません。開業医ほど自助努力による老後資産形成が不可欠です。iDeCo・NISAのフル活用が最優先事項です。
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